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プロジェクトに寄せて

東京都新宿区の女子医大病院はじめ、多くの病院にて脳神経外科医として活躍されている丸山隆志先生より、メッセージをいただきました。ありがとうございます。「脳を治す」お仕事ですから、脳神経線維のつながりと障害の関係をご存知のこと。お話にはいつも頭が下がります。その丸山先生から、寄稿文を頂戴しましたので、ご紹介いたします。

高次脳機能障害とは

 脳は、われわれ人間が生きていくために必要なすべてがつまっています。

 脳の病気やケガのあとに、もとどおりの働きに戻らない後遺症にもたくさんの症状があります。他人からみると普通のようにみえる。しかし本人にとっては元通りの活動に戻れていない状態が、高次脳機能障害といわれています。障害を受けた脳の場所、程度、期間によって、その症状は幅広く、同じ障害を持つ方を探すことのほうが困難です。

高次機能障害の代表的な症状

 症状のパターンによってたくさんの名称がつけられています。代表的なものとし以下のようなものがあります。

  短期記憶障害――覚えたことをすぐに忘れてしまう。

  遂行機能障害――これまでできていた作業が手順通りにできない。

  認知機能障害――見たものを知っているが、何と呼ぶのかわからない。

 これらの障害でも、物の認識が苦手だったり、人の表情や言葉の認識が苦手だったり、さまざまなパターンがあります。

 また、作業したり人と話をしていると脳がすぐに疲れてしまい、一度休まないと活力が湧かない、などの‘疲れやすい’という現象も多くみられます。

なぜデジタルを利用するのか

 ハンディキャップがあると、人の前にでるのをためらってしまいます。失敗して恥ずかしい思いをするのではないか、相手を不快にさせてしまうのではないか、もともと人前にでるのは苦手、などの理由から、はじめての場所や出会いを避ける傾向にあります。

 この集まりは、みんな同じような思いをかかえているメンバーの集まりです。なので、話に時間がかかっても、言葉を間違えても構いません。例えば、仮想空間。アバターという仮の姿で、WEB上の空間に登場していただきます。名前もニックネームで構いません。この空間の中では、同じような思いの方々がいます。相手の話もじっくり聞いてみましょう。話したいことは臆病にならずに話してみましょう。そんな空間から、仲間をみつけ、いつもならしまってしまう思いを言葉にしてみてください。

なぜデジタルを利用するのか

 ハンディキャップがあると、人の前にでるのをためらってしまいます。失敗して恥ずかしい思いをするのではないか、相手を不快にさせてしまうのではないか、もともと人前にでるのは苦手、などの理由から、はじめての場所や出会いを避ける傾向にあります。

 この集まりは、みんな同じような思いをかかえているメンバーの集まりです。なので、話に時間がかかっても、言葉を間違えても構いません。例えば、仮想空間。アバターという仮の姿で、WEB上の空間に登場していただきます。名前もニックネームで構いません。この空間の中では、同じような思いの方々がいます。相手の話もじっくり聞いてみましょう。話したいことは臆病にならずに話してみましょう。そんな空間から、仲間をみつけ、いつもならしまってしまう思いを言葉にしてみてください。

なぜいまなのか

 コロナは生活習慣を大きく変えました。なるべく外にでない、人と会わない、話をすることを避ける、そんな時間が3年間も続きました。もともと人と会うのが苦手な方にとって、人と会わない時間が加速してしまいました。そんななかでZOOMを使って、家にいながら人が集まり始めました。孤立した時間にいながらも、いつもの顔ぶれが集まり、食べ物や旅行、時にはお金の勉強など、それぞれの特異な話をする時間になりました。

脳の機能になぜいいのか

 一人の世界では、脳はいつも安定のままにいます。

 人と話すと脳はフル回転で働き始めます。

 

 高次脳機能障害を持つ人のなかで、言葉や情報を処理することが難しい方がいます。そのため、会話中に相手が話している内容を正確に理解することが難しい場合があります。会話のなかで頭に入ってくる情報が多すぎたり、会話のスピードが速すぎたりすると、混乱してしまって話の内容をまとめることができなくなってしまいます。

 

 また、高次脳機能障害を持つ方には、他人と交流するための社交的な能力に影響を受けていることもあります。たとえば、自分が適切な目線や表情を作ることが難しい場合や、相手の表情や感情を読み取るのが苦手だったり、他人とのコミュニケーションが円滑に行えない場合があります。

 

 さらに、高次機能障害を持つ方は、ストレスや不安を感じやすい傾向にあります。会話の途中で相手が自分に対して否定的な反応を示したり、うまく自分を表現できなかったにすると、ストレスや不安がより増幅されてしまう可能性があります。

経験を増やして、少しずつ自信を取り戻して

 これらを克服するためにできることは、まず何よりも会話に慣れることです。

 はじめて同士であっても、お互いが許しあえる相手とわかっていれば緊張は軽くなります。間違えても大丈夫ならば、‘やってみる‘ことから始められます。緊張に慣れてきたら、相手が理解しやすい話し方や、コミュニケーションを円滑に進めるための工夫を覚えていけばよいのです。人前で話したり、はじめての相手と話をする経験が増えていくことで、少しずつ自信を取り戻していけばよいのです。

 たとえば自転車に最初から上手に乗れる人はいません。不慣れでぎこちなくても、だんだんと乗り慣れながら上手になっていきます。最初から人前で緊張せずに話せる人はいません。

緊張は壁を突破するための原動力になる

 このような安心で安全な場所がなかなか日常生活ではありません。我々の空間では、皆それぞれが少しずつ前を向いて進もうとしています。最初はぎこちなかった話し方も、会を重ねる間に次第に饒舌になり、自信を少しずつ取り戻しながら社会復帰された方がいます。職場でしんどくなって、愚痴をこぼしに来られた方もいます。緊張はブレーキにもなると同時に、壁を突破するための原動力にもなります。

 皆で少しずつ支えあいながら、前に進もうではありませんか。

文:丸山隆志、編集:清水博史

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